オーバーランド (自動車メーカー)
オーバーランド(AUVERLAND)は、フランスの四輪駆動車(軍用車)メーカーである。2005年にパナールを買収した後、社名をパナール ジェネラル ディフェンス(Panhard General Defense)へ変更している。
- 「AUVERLAND」のフランス語での発音により忠実なカナ表記は「オーヴェルラン」であるが、本稿では日本で一般的な表記である「オーバーランド」を用いる。
概要
[編集]農耕用四輪駆動車・クルニル (Cournil) を生産していたセミ(Société Internationale de Matériel Industriel)社を買収し、フランス中部(ロワール県)の町・サンジェルマンラバルで、四輪駆動車専業メーカー・オートランド(AUTOLAND)として1984年に創業される。当初はクルニルの改良型の製造/販売に留まっていたが、社名をAUVERLAND S.A.に改めた後、自社設計モデルの開発に着手した。
生産能力は年間数百台レベルの、いわゆる少量生産メーカーであるため、創業当初よりエンジンはプジョーやイヴェコ等から供給を受け、自社製の車体に組み合わせる製造手法を採用した。悪路走破性を重視したシャシー(サスペンション)設計が特徴で、特殊架装モデルも得意とした。 当初は軍用あるいは公官庁向けのモデルだけでなく、シビリアン(民間)モデルも積極的に製造・販売し、1990年には総輪駆動トラックメーカーのソバマグ(SOVAMAG)社を買収するなど、ラインナップの拡充にもつとめた。しかし軍用モデルの製造・販売に特化するため、2001年にシビリアンモデルの販売中止が決定された。
2005年1月にはPSA・プジョーシトロエングループ傘下にあり、軍用車両メーカーとして実績のあるパナールを買収する。その後、2005年12月30日に社名をオーバーランド(当時の正式名称はS.N.A.A.=Société Nouvelle des Automobiles Auverland)からパナール ジェネラル ディフェンス(Panhard General Defense)へと変更し、フランス唯一の総輪駆動車専業メーカーとして活動していた。
2012年10月にはボルボ・グループのルノートラックに6250万ユーロで売却され、現在は完全にオーバーランドの名前が消えた。
代表モデルのA3の他、ライトアーマーのA4がPVP(Petit Véhicule Protégé = Small Protected Vehicle)として、仏軍に採用されている。 また一部はヨーロッパやアフリカ諸国などへ輸出され、チェコ(AVIA:1994〜1996年)とブラジル(JPX do Brasil Ltda:1993〜2002年)ではA3がライセンス生産された。オーバーランド社としての総生産台数はおよそ9,500台(両)、ミリタリーモデルは世界40以上の軍隊で使用されている[1]。
なお日本には、1988年に2台のA3(ガソリンとディーゼルモデルの各1台、シビリアンモデル)が輸入され、いずれも現存する[2]。
主な車種
[編集]シビリアンモデル
- A :(クルニルのオーバーランド版モデル)
- A2 :(A型の小改良モデル)
- A3 :(オーバーランド社にとって初となる独自設計の小型四輪駆動車)
- A3L/A3SL :(A3のロングホイールベースモデルでダブルキャブのピックアップモデルも存在した)
- A4 :(現行軍用モデルのA4とは異なる、A3Lベースの4ドアハードトップモデル)
ミリタリーモデル
- A3 :(民間型A3の軍用モデル)[1]
- A3L/A3SL :(A3の軍用ロングホイールベースモデル)[2][3]
- A3F :(A3の軍用エアポータブルモデル) [4]
- A4 : (軍用軽装甲モデル)
- A5 : (軍用軽装甲モデル)
- TC10 :(旧ソバマグ社の設計による四輪駆動トラック) [5]
- TC24 :(旧ソバマグ社の設計による四輪駆動トラック) [6]
出典
[編集]- ^ PANHARD&AUVERLAND メーカーカタログ (2005年)
- ^ http://mizusawa.on.coocan.jp/ccv/vol11.html